ファクタリングとは

ファクタリングとは、売掛債権を買い取るサービスのこと。
「ファクタリング」は借入や融資と同じく、資金調達方法の1つです。売掛債権を第三者に譲渡、売却して資金を調達します。

売掛債権とは「掛取引(信用取引)」で発生した売掛金や受取手形のこと。通常、掛取引の代金が入金されるのは取引の1~3か月後です。

しかし、入金前のタイミングでファクタリング会社に売掛債権を売却すると、早期に現金化できます。これがファクタリングの基本的な手法です。

ファクタリングの
仕組み

ファクタリング会社が提供するファクタリングには、大きく分けて下記2つの仕組みが存在します。

① 2社間ファクタリング

債権を持つファクタリングの利用会社と、ファクタリング会社の2社間で完結する取引のファクタリングです。

2社間の契約により、手数料などを支払い売掛金などの債権をファクタリング会社に譲渡します(手数料が売却代金の一部と相殺される場合もあります)。早ければ即日以降に、ファクタリング会社から売却代金が振り込まれます。

売掛金の債務者である取引先から代金が利用会社へ振り込まれると、利用会社はファクタリング会社へ送金し、取引は完了です。

2社間ファクタリングは、取引先が関与しない取引であるため、ファクタリングを取引先に知られることがなく実行できるメリットがある一方で、手数料は3社間ファクタリングよりも高めに設定されています。

② 3社間ファクタリング

3社間ファクタリングは、契約自体は利用会社とファクタリング会社で締結するものの、売掛金の入金自体は取引先から直接ファクタリング会社へ送金する形態です。

ファクタリング会社側としては、利用会社に債権がまちがいなくあることを確認できるため、ファクタリング会社側にとってリスクの少ない取引となります。 そのため、手数料も2社間ファクタリングよりも安価に設定されているケースが多いでしょう。

ファクタリングの
6つの種類

ファクタリングの代表的なサービスを
6種類紹介します。

① 買取ファクタリング

買取ファクタリングとは、売掛債権をファクタリング会社へ売却して、債権の支払いを待たずに現金化できる方法のことです。

取引先の支払い能力に不安がある場合や、資金として現金を早く入手したい場合に利用されるファクタリングでしょう。

② 一括ファクタリング

一括ファクタリングとは、債権者、債務者、金融機関の3社間で手形決済の代わりに行われるファクタリングです。

買取ファクタリングと同じような仕組みですが、債務者が契約の主体となる点に違いがあります。債務者が手形による煩雑な手続きを避けるために利用されるファクタリングです。

③ 保証ファクタリング

保証ファクタリングとは、利用会社がファクタリング会社へ保証金を支払って、万が一債務者が売掛金を支払えなかった際に、保証してもらうファクタリングです。

債務者が倒産した場合などに、該当する売掛金に対する保証金をファクタリング会社から支払ってもらえます。

④ 注文書ファクタリング

注文書ファクタリングとは、仕事の発注が完了した時点で注文書をもとにファクタリングのサービスを受けられる携帯です。

スピーディに資金化できるファクタリングですが、手数料は比較的高めに設定されています。

⑤ 国際ファクタリング

国際ファクタリングとは、取引先が海外企業である場合に利用できるファクタリングです。

海外企業は与信調査が難しく、取引に不安を感じる場合が少なくありません。そういったリスクに対応するためのサービスとなります。

⑥ 医療ファクタリング

医療ファクタリングとは、病院・クリニックや介護施設の事業者が利用できるサービスです。
社保や国保に対して保有している診療報酬債権や介護報酬債権をファクタリング会社へ売却して資金化します。
リスクが低いため、手数料は比較的安価なファクタリングです。

ファクタリングの
メリット・デメリット

ファクタリングのメリットとデメリット

メリット

① スピーディーに資金調達できる

ファクタリングは銀行融資より資金調達のスピードがはやく、即日での資金調達が可能になります。
理由として、売掛債権譲渡の特性上、審査時間が短いからです。
なぜこのようなスピーディーな資金調達が可能なのかというと、ファクタリングには
・担保や保証人が不要で審査に時間がかからない
・全ての手続きがオンラインで完結でき、来店の手間がいらない(非対面契約に対応しているファクタリング会社の場合)
といった特徴があるためです。

即日資金調達が可能になるのはメリットです。

② 融資よりも与信審査が通りやすい

会社設立すぐに銀行からの融資調達は難易度が高く、時間がかかります。
また、資本構成が複雑な企業も銀行での銀行調達は難しいです。
フリーランスや個人事業に対しては銀行融資が非常に厳しいでしょう。
業績や信用情報に問題があり銀行融資の審査が通らなかった企業でも、ファクタリングであれば審査を通過できる可能性は十分にあります。

なぜなら、ファクタリング会社が審査するのは「売掛先の企業」であり、「ファクタリングを利用する企業」ではないためです。
このようにファクタリングの場合、どのような企業でも売上が計上され、売掛金が記帳されると資金調達が可能です。

③ 売掛先が倒産した場合は返済不要

ファクタリングは売掛先の倒産に備えることはできます。
売掛金をファクタリングで現金化した後、売掛先が倒産すれば本来受け取るはずの売掛金は回収できません。

ただ、ファクタリングは原則、償還請求権なしの契約を結ぶため、売掛先倒産により債権が回収不能となってもその責任を利用者が負うことはないといえます。
売掛債権を譲渡した後、売掛先から売掛金を回収するのはファクタリング会社の役目です。
売掛先が万一倒産した場合の未回収リスクに備えることもできるのは、ファクタリングの大きなメリットです。

デメリット

① 手数料が高い

低い金利で長期間の借り入れが可能な融資に対して、ファクタリングは手数料が高い傾向にあります。
銀行融資の場合は低ければ1%台、高くても10数%です。しかし3社間ファクタリングの場合は売掛金額の1~9%、2社間ファクタリングの場合は15~30%もの手数料が発生します。
ファクタリング会社が貸倒リスクを負うため、手数料が生じるのです。

② 売掛金の額以上の資金は調達できない

売掛金の額以上の資金は調達できないというのも、ファクタリングのデメリットのひとつです。ファクタリングは売掛債権を専門会社に買い取ってもらうことで成り立つ売買契約であり、借金ではありません。
例えば、10万円分の売掛債権を手数料10%のファクタリング会社に譲渡した場合、
・調達できる資金:9万円
・ファクタリング会社への手数料:1万円
となります。
この状況下で「どうしても20万円の資金が必要!」という場合は、融資など他の手段を組み合わせて残り11万円を調達するしかありません。
ファクタリングを検討している場合は、
・自社が必要としている資金はいくらか
・必要な資金は売掛金の範囲内に収まっているか
といった状況を整理して、利用するかどうかを決めましょう。

③ 全額回収できるとは限らない

ファクタリングなら売掛債権の全額買取ができると考えている人もいるでしょう。残念ながらファクタリングにも「掛目(担保評価をする際、時価よりも低く評価する割合)」が存在するのです。

もちろんこの掛目を100%で買取を行うファクタリング会社もあります。なかには審査結果によって掛目を設定するファクタリング会社も存在するため、利用の際は見極めが必要です。